『ルパン三世』というアニメは、一番最初にテレビ放送された頃、非常に視聴率が悪かった。
作り手たちは、最初、 「アニメが子ども向けな時代は終わった。『ルパン』は大人向けの、会話がおしゃれな、車や小物にもしっかりこだわった、本物志向でいこう!」 という目標に向かって結集した。
しかし局は、視聴率が伸び悩むと、監督にこう打診した。 「やっぱりアニメは、子どもでもわかるように、わかりやすく作るべきだ。おもちゃも売れるように、既成のホンモノを描くのをやめてほしい。」
こうして、1期目の監督は降板したのである。
数十年後、その監督は、ある仕事でテレビ局を訪れた。 『ルパン三世』は、監督の手を離れたあと、少し遅れて1期目が評価され、再放送で視聴率を伸ばし、いまやドル箱となっていた。
監督は、局員たちの会話を小耳にはさんだ。
「なんでルパンってあんなにおもしろいんですかね?」 「そりゃ、大人向けだからだよ。会話がおしゃれだし、車や小物もホンモノを描いて、こだわってるし」
監督は納得したそうである。 反対された理由も、賛成された理由も、おなじ理由だったからである。
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